生酛 純米酒 3種類あります


自然な流れでゆっくりと、お米がお酒に変わっていく。生酛(きもと)造りの純米酒。
原料米違いで、五百万石、改良雄町、山田錦、の3種類があります。
温めて飲んで頂く事を想定して出荷しております。ぜひお燗で。

五百万石は、かなり酸味が尖ってます。赤身肉などと合わせたら良い感じです。
改良雄町は、味幅があります。レバーペーストなどとどうぞ。
山田錦は、3種の中ではバランス良く、丸みもあります。生酛でどれにしようか迷った時はどうぞ。



玉櫻では、速醸酛(そくじょうもと)と生酛 という2種類の酛造り(酒母づくり)方法を採用しております。

大雑把にいうと、速醸酛とは現代的な酛の造り方で、蒸米と麹と水を混ぜたものに、精製された乳酸液(酛を酸性に保ち、雑菌に対する抑止力となる)と培養された酵母を添加し、酵母を短期間で純粋に増殖させる方法です。

生酛は、江戸時代に完成されたといわれている酛の造り方です。まず、蒸米と麹と水を混ぜたものに乳酸菌(麹等に沢山付いています)を増殖させ、乳酸発酵を行わせます。雑菌に対する抑止力となる乳酸を十分に蓄積させた後、酵母(麹等に沢山付いています)の増殖を促す方法です。
共に最終的には、乳酸酸性の中で酵母が純粋に培養されている。という似通った状態になるのですが、出来上がった酛の風味は大きく異なります。



速醸酛は、酵母由来の香りが主で、すっきりと華やか。酸味は強いですが、旨みは少なくあっさり味です。
生酛は、乳酸菌由来の香りと、酵母由来の香りが入り交じり、複雑な香りをしています。酸味強く、旨みも充分に感じられます。
こういった酛の風味の違いは、お酒の味に影響します。

速醸酛を使って造ったお酒は、香りがすっきりとしており、軽快でキレの良い味わいになる傾向があります。
生酛を使って造ったお酒は、香りの面では穀物っぽく、曇った印象を感じる事がありますが、燗酒として飲む場合は、馴染みやすさや穏やかさに繋がる香りと受け取れます。味は、どこか力強く、野太い感じを受けるものが多く、お酒を構成する要素が、明らかに速醸よりも多いように感じます。


熟成期間もそれぞれです。
速醸ですと熟成期間1年位で、ある程度のまとまりを見せ、3年目くらいに味のピークを迎えるものが多いように感じます。その後はお酒としての艶が少しずつ褪せていきます。艶と、枯れた感じのバランスが取れた状態が理想的です。
生酛は1年位では味がまとまりませんが、長期間味が伸び続けるように感じます。少なくとも、5年位は平気で伸びます。5年経っても、まだまだ先があるなと思うような酒もあります。
玉櫻では、速醸は1年、生酛は2年以上の熟成期間を設けて、世に送り出したいと考えています。

2017年02月01日